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トレーニングをプログラムする場合、最も難しい問題はおそらく「トレーニングの頻度」でしょう。古くから、同一部位のトレーニングは週2〜3回がよいというのが定説となっています。この頻度は、一定の効果を得るために、確かに経験上「安全」な頻度といえますが、あまりに固定観念化しaていて、「週1回では効果がない」と信じている人がほとんどのようです。しかし、実際には、この頻度が最適であることを示す実験的根拠はあまりありません。そこで今回は、この頻度の問題について再考してみましょう。 |
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筋疲労とその回復過程 効果的なトレーニングを行うと、必然的に疲労が生じます。レジスタンストレーニングでは、この疲労は一時的な筋力低下となって現れ、ゆっくりと回復します。疲労が回復するに従い、やがて筋力が以前のレベルを超える時期が現れ、これを「超回復」と呼びます。簡単に分かるように、「超回復」期に次のトレーニングを行えば、次第に筋力は増加していくことになります。しかし、こうした疲労と回復の関係は、あくまでも「概念」であって、何日後、何時間後に「超回復」が訪れ、それがどのくらい持続するのかよく分かっていません。実際には、これらのことこそが、トレーニングを行う上では最も重要な情報になります。
一般的なトレーニングによる疲労とその回復 Hakkinen(1995)は、トレーニング経験のない女性(平均年齢30歳)に、レッグプレス(負荷10RM)を5セット行わせ、その直後から膝伸展筋力を経時的に測定しました。トレーニング直後では、筋力は平均約80%に低下しましたが、1時間後にはすでに約90%に、2日後に約95%にまで回復しました。これ以降測定は行っていませんが、おそらく4日後には100%に戻るか、微小な「超回復」が現れるものと思われます。
この実験だけを見れば、脚筋群のトレーニング頻度は「中3日」すなわち2回/週が適切となります。 エキセントリックトレーニングによる疲労とその回復 しかし、何度かお話しした通り、筋疲労の発現のしかたは、トレーニング動作に強く依存します。私たちの研究では、肘屈筋に伸張性最大筋力を発揮させるようなエキセントリックトレーニングを8回×2セット行うと、1日後に筋力が約65%にまで低下し、その後「遅発性筋痛」を伴う疲労が持続するため、10日後でも90%までにしか回復しませんでした。横浜市大の野坂氏らによれば、同様のトレーニング後、さらに長期にわたって筋力を測定すると、約1カ月後になって、やっとわずかな「超回復」が見られるとのことです。したがって、いわゆる「ネガティブワーク」を多用するようなタイプのトレーニングでは、その頻度を2〜3回/週より低く設定しなければならないことになります。疲労回復速度にもトレーニング効果がある
ところが、上述のようなエキセントリックトレーニングを2回、3回と続けていくうちに、回復時間が徐々に短縮し、6日ほどで完全に回復するようになります。すなわち、回復速度自体にもトレーニング効果があることになります。さらに、野坂氏の最近の報告によれば、高強度のエキセントリックトレーニングを行う数日前に、予めごく軽いエキセントリックトレーニングを行い、筋を「慣らして」おくと、高強度のトレーニング後の疲労回復速度が著しく高くなるということです。これらは、トレーニング後の回復速度が、トレーニングの履歴に依存することを示しています。すなわち、あらゆる場合に用いることのできる、唯一の最適頻度というものは存在しないことになります。
長期的トレーニング効果からみた頻度 トレーニンクを長期間続けた場合の、頻度と効果の関係はどうでしょうか?上記のような高強度のエキセントリックトレーニングを、多少無理をして2回/週の頻度で続けると、約2カ月後まではオーバートレーニングの兆候が続きますが、3カ月後になると急俊なトレーニング効果が現れます。こうした効果は、1回のトレーニング後の回復過程からは予測できないものです。このように、「あえてオーバートレーニング気味の状態を作り、そのリバウンドを利用する」ような方法は、しばしばアスリートの間で用いられますが、一歩誤ると「ミスコンディショニング」に陥る危険性があるでしょう。
より一般的なトレーニングの場合については、Pollockらのグループが、腹 筋群や脊柱起立筋などの体幹の筋群について、さまざまな頻度で3カ月間トレーニン グを行った場合の筋力増加を調べています。彼らの一連の研究をまとめると、2回/ 週が最も効果が大きく、その効果を100%とすると、3回/週では約70%、1回/週 では35%、1回/2週では約5%の効果があることになります。この結果を解釈するには、被験者がトレーニング未経験者であることや、体幹の筋群に対象が絞られている点を考慮する必要があります。しかし、他の筋群についても、少なくとも急激な効果を必要とせず、マイペースで着実に効果を上げればよいような場合には、1回/週の頻度でも十分ではないかと思われます。
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