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パンプ・アップの生理学
トレーニングをしている人であれば、パンプ・アップ(pump up)という言葉をよくご存じでしょう。はげしくトレーニングをすると、まるで筋肉に血液が注入されて、風船のように膨れ上がったようになるので、この状態をパンプ・アップといいます。日本では、筋肉をはげしくパンプ・アップさせ、その状態をなるべく長時間持続させるようなトレーニング法を「充血法」と呼んできました。以前、トレーニング講習会などで、「パンプ・アップは効果を上げるために必要ですか」という質問を受けると、「最も重要なのは、筋肉が受ける力学的刺激ですので、必ずしも必要でないでしょう。その証拠に、腕立て伏せを100回やれば強くパンプ・アップしますが、筋肥大は起こりません」と答えていました。しかし、パンプ・アップとトレーニング効果との関係を明らかにした報告はこれまで全くなされていません。また、最近では私自身、実験結果に基づいて、上の考え方をやや変えるに至りました。そこで、今回は、パンプ・アップについて考えることにしました。(石井直方)
トレーニングと筋内の血流
筋肉中の個々の筋線維のまわりには毛細管がとりまいていて、その両端はそれぞれ動脈と静脈につながっています。単純に考えると、筋運動中には、こうした経路を通って流れる血液(血流)の量が増し、そのような状態がパンプ・アップだろうと想像されますが、実際にはそれほど単純ではありません。

筋肉の中の血流は、筋肉の収縮の仕方に依存して変わります。よく知られているのが、筋力発揮のレベルと血流との関係です。トレーニングで繰り返し筋力を発揮するような場合、最大筋力の30%程度まででは、運動中の筋内の血流量が顕著に増えます。ところが、負荷を増し、もっと力を発揮すると、筋内圧の上昇によって静脈圧が増し、血流は減少していきます。80%以上の力を発揮すると、こんどは筋肉が血液をしぼり出したような状態になり、「局所性貧血」になります。中〜高負荷のトレーニングでは、運動中、筋肉は貧血状態になっているのです。

一方、運動直後には、筋肉の循環抵抗が大きく減少し、その結果一気呵成に多量の血液が筋肉に流れ込む、過血流の状態になります。スクワットなどの直後に、一過的に貧血症状が現われることがあるのは、このような過血流が下肢や体幹筋群に起こるため上半身の血流が減少するためと考えることができます。しかし、筋内の血流量の増大は、流入する血液(動脈流)と流出する血液(静脈流)の両方の増加によって起こりますので、筋肉が「充血」することではありません。

パンプ・アップのメカニズム
それでは、パンプ・アップはどのようにして起こるのでしょうか。筋肉が活動するとエネルギーを使います。すると、乳酸や二酸化炭素などの代謝産物が生成されます。これらは、筋線維から運び出されると、毛細管の透過性(水などの通りやすさ)を増し、動脈を拡張させるようにはたらきます。このような状態で運動後に静脈圧が急降下すれば、筋内は血液が通りやすくなっているので、代償的に過大な血液が流れます。さらに、筋線維の間の空間には代謝産物がたまり、浸透圧が高くなっているので、血液から血しょう成分が侵出してきます。その結果、筋肉が「水ぶくれ」になり、体を循環する血液量がその分減少します。ボディビル競技でパンプ・アップしすぎると、往々にして筋肉の「切れ味」がなくなるのは、このためです。

パンプ・アップの功罪
上のメカニズムから、パンプ・アップには複数の要因が関係することが考えられます。代謝産物を多量に生成するためのエネルギー消費、十分な時間局所性貧血を起こすための、筋力発揮時間などです。ですから、100回の腕立て伏せでも、10RMのベンチプレス5セットでも、見かけ上同様にパンプ・アップを起こせます。従って、パンプ・アップの有無だけではトレーニングの善し悪しを判別できませんが、適切な負荷領域を用いているのであれば、トレーニングの量やセット間のインターバルなどが適切であったかどうかの指標とはなり得るでしょう。

一方、パンプ・アップは筋肉の可動域を減らし、筋力やパワーを一時的に低下させます。これらは、「動き」に悪影響を及ぼしますので、「動き作り」を伴うトレーニングでは、極力パンプ・アップを抑える方法が有用です。以前お話しした、動作初期にバリスティックに筋力発揮をする方法や、「初動負荷」と呼ばれる方法では、大きな筋力を発揮する時間が短いので、パンプ・アップが起こりにくいと考えられます。逆に「終動負荷」では、筋肉が血液をしぼり出すようにはたらくため、強くパンプ・アップするのでしょう。

ところが、最近の私たちの研究から、筋内の血液循環の状態と筋肥大の間に密接な関係があることが分かってきました。細かいメカニズムについてはさらに研究を進めている段階ですが、筋を大きく肥大させるには、局所性貧血またはそれに近い状態を長時間作るのが効果的であり、筋力発揮自体は小さくてもよいらしいのです。この研究の詳細については、次回にお話しします。

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