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別なところから動作を直す−その2−


欠点を直す場合に、その部分を直接意識させるのは、多くの場合うまくゆきません。遊園地にあるシーソーを思い浮かべてください。シーソーのこちら側に、肩が水平に回転する、という修正目標が乗っているとして、シーソーの反対側には、手の甲が球に向かってゆく、という動作感覚が乗っています(図30)。

シーソーの片方には、肩が水平に回るという目に見える世界のことを乗せます。つまり、動作がどうなっているかという観察した動作欠点を乗せます。反対側には、手の甲を球にぶつけるような感じ、という目に見えない感覚の世界のことを乗せます。

自分の動作が、「このような動きになる」には、「どういう感覚で行う」のがよいのか、ということをいつもシーソーのこちらとあちらに乗せて考えてみるのです。ある動作を行うのに、ピタリとつり合う感覚が見つかったとき、動作はうまくゆきます。

上述したように、観察した動作欠点に見合った動作修正感覚を見つける場合、左右に分かれる身体の反対側から見つけるのも有力な一方法ですが、上半身と下半身の連動性から見つけるのもいい方法です。イチロー選手は、メジャーリーグの3年目のシーズンに陥ったスランプの原因に、上半身に力みがあることが分かったときに、その力みを意識してはずそうとしても、なかなかうまく力が抜けなかったそうです。そのうち、膝から下の部分に力みがあることが分かり、その力みを外したら、自然と上半身の力みがとれた、ということをオフシーズンに語っていました。イチロー選手のなかでは、上半身の力みがとれることと、膝から下をゆるめる感覚が、シーソーの両側の軸でバランスをとっていたのです。

選手も指導者も、動作の修正や修得においては、何と何がシーソーの両側に乗るのか、そのことを自分のなかでいつも探っておくことが大切です。その際、からだの構造・機能の知識、とくに、体幹と四肢を接続する、股関節周辺と肩周辺の機能解剖の知識を得ておくことは、非常に重要です。

からだの動きも左右の二軸性で考えるとうまくゆきますが、動作修正のポイントも、観察事項と動作感覚の二軸性で捉えると、視界が開けてきます。優れた指導者は、選手の動作がどうなっているかを見る目と、その動作を直す豊かな感覚の両方を兼ね備えているものです。


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