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別なところから動作を直す−その1−


左右二軸を切り換えて動的バランスをとって走る二軸走の話をしました。右と左のバランス、左右の関わりあいでからだの動きは成り立っているのです。からだの動きが左右のバランスで成り立っているのですから、動作の修正、習得も左右のバランスと考えてください。右の動きを修正しようとしたら左の動作を直す。左の動きを変えようと思えば、右の動きを修正する、という話をしたいと思います。

例えば、野球やソフトボールの打撃。スイング時に後方(キャッチャー側)の肩が下がって、アッパースイングになる欠点を修正する場合を考えてみましょう(図28)。

右肩が下がっているので、意識して肩を水平にまわせ、と指摘する指導者も多いと思います。しかし、右肩が下がらないように水平に回そうというのでは、動作は矯正できないのです。技術的な欠点というものは、ほとんどの場合、別な部分を意識することで是正されることが多いのです。

では、どうするか。野村克也監督(東北楽天ゴールデンイーグルス)の著書『続 敵は我に在り(ワニ文庫)』から学んでみましょう。右肩が落ちる打者は、左手の甲がボールに正対していない。やや上向きになっている。だから、左手の甲をボールにぶつけてゆく感覚を考えるほうがよいと、いうのです(図29)。右打者が左手の甲を球に正対させるというのも、左上腕に外旋の力をかけておく、ということを意味します。実際には、インパクトの瞬間までは、手の甲は球に正対しておらず上空を向いていますが、上腕には外旋力がかかっている、という意味です。

右肩が下がる欠点の修正ポイントをからだの左側から探す。「別なところに光をあてる。プロの世界はコツの世界」と語る野村氏の言葉は、重く響きます。からだの部分をあーしよう、こーしようと直接意識をおいているうちは、うまく行っていないことを知りましょう。上手くゆかない部分から意識をはずして、その部分と関わっている別な部分に意識をおくことから入ると光が差してきます。

このような話をセミナーでしますと、次のような内容のレポートが寄せられます。『中学、高校時代に、体育の先生や部活の監督に、体の動きについて注意されることがありました。僕は、野球部で投手をしていましたが、投球動作のとき、投げる腕の肘の位置が低いのでもっと高くしなさい、と監督さんからよく言われました。そこで、言われたとおり、動作中に意識して肘を高くして投げたのですが、なぜかほめてくれないんです』。

直接意識をおいて動作を修正しようとすると、今度は別の欠点が出てきて、こんどは、その欠点を指摘することになり、泥沼に陥ってしまいます。上記のような場合、一例ですが、球を投げる腕と反対側の腕をステップ時に高く上げる感覚を持つ、という修正方法もみつかると思います。




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