SSK PRESENTS スポーツポータルサイト ウェブリーグSSK PRESENTS スポーツポータルサイト ウェブリーグ
トップへ はじめての方 メールマガジン登録 サイトマップ 新規会員登録
 
コミュニティTOPへ コマースTOPへ インフォメーションTOPへ ニュース スポーツ施設 コーチ ライブラリ
コーチ

動作のスピードと筋力
昨年の暮れ,プロ野球のトレーナー・ドクターミーティングに招かれ,1)スポーツパフォーマンスと筋力の関係,2)コンディショニングでの筋力の重要性,3)アスリートのための筋力トレーニングの工夫,の3点について講演をしました。これらの中で,改めてスポーツパフォーマンスと筋力の関係を考えてみると,これを体系的に分析した書物や文献がきわめて少なく,十分に理解されていないことに気付きます。そこで今回はやや基礎的なテーマになりますが,スポーツパフォーマンスにおいて重要となる動作スピードと筋力の関係についてお話しします。

【スピードを決める要因】
多くのスポーツでは,まず動作のスピードが筋力より重要になります。例えば,野球のピッチャーではボールを離す瞬間の指先のスピード,バッターではボールを捉える瞬間のバットのスピード,ジャンプ系競技では離地の瞬間の重心のスピードがそれぞれ,球速,球の飛距離,ジャンプ高などを規定する第1の要因になります。これらは物理法則に基づいています。一方,現場では長い間,スピードが何で決まるかがよく理解されていなかったために,「スピードと筋力は別物」といった誤解を生じてきた傾向があります。結論から述べると,動作のスピードは,1)筋力,2)筋力発揮の仕方,3)筋のスピード,4)神経の協調性,5)筋と骨の長さ,の5つの要因で決まります。このうち,1)〜4)はトレーニングによって改善可能な要因と考えられ,以下に順を追って詳述します。

【筋力と加速度】
すべての動作は「速度ゼロ」から始まりますので,高いスピードを達成するためには,大きな加速度が必要です。物理法則から,(力)=(質量)×(加速度)ですので,(加速度)=(力)/(質量)となります。したがって,腕とボール,腕とバット,全身などの質量に対して,どれだけ大きな筋力を発揮できるかが,上にあげたそれぞれの動作での加速度を決めるということになります。実際,ジャンプ動作では,(地面反力)/(体重)が大きいほど跳躍高が高くなります。

【加速のタイプ:弓型とピストル型】
ところが,単に測定上の最大筋力が増えることが即スピードにつながるわけではなく,筋力発揮の仕方も重要になります。例えば,力の上限は低くとも,なるべく長いストロークで加速を続けられれば,最終的な速度は高くなります。これを「弓型の加速」ということができます。ピッチャーで「球離れが遅い方が良い」といわれるのはこのためです。一方,短い時間の間に爆発的な筋力を発揮して加速度を生む方法があり,「ピストル型」の加速といえます。こちらには,筋力が高いだけでなく,瞬時に大筋力を発揮する(バリスティックな筋力発揮)能力が必要です。しかしここで重要なことは,どちらの場合にも筋力が基盤となっている点で,トレーニングによって筋力発揮の上限を高めることは,「弓型」の場合には弓と蔓の強度を高めることに,「ピストル型」の場合には薬莢の火薬を増やすことに相当します。

【加速を維持する能力と力―速度関係】
上記の2つのタイプの加速のうち,どちらが重要かは,スポーツのタイプや選手の個性に応じて異なってきます。しかし,いずれの場合にも,動作の終盤では,「すでに早い速度で動いている状態でさらに加速のために筋力を上乗せする」必要が生じます。ここで問題となるのが,「筋のスピード」です。筋には一般に,その短縮速度が増大するほど力が低下するという特性があります。この関係を力―速度関係と呼びます。究極的な筋のスピードは,力=0になったときの速度で決まり,これを最大(無負荷)短縮速度(Vmax)と呼びます。ひとたびVmax に等しい速度になってしまうと,もはや筋はさらに加速するための筋力を発揮できません。

【筋自体の最大スピードは変わらない?】
ところが,これまでヒト生体内でVmax を測定することが困難であったため,筋のスピードと動作スピードの関係には不確かな点が多く残されてきました。そこで私たちの研究室では,生体内でVmaxに近い値を測定するために「サーボ制御式ダイナモメーター」(Yamauchiら,2003)と「スラックテスト型ダイナモメーター」(佐々木と石井,2004)という2種の装置を開発しました。これらの装置を用いて脚・股関節伸展と足関節底屈のVmax を測ったところ,男女の間でも,若者と高齢者の間でも,ほぼ一定であることがわかりました。したがって,日常生活やスポーツ動作での若者と高齢者のスピードの違いは,主に筋力の違いによるものと考えられます。このことは,ヒト筋のバイオプシーから得た単一筋線維のVmax 加齢によって変化しないという最近の知見(Trappeら,2003)とも合致しています。

【神経系の関与】
以上から,動作スピードにはまず筋力が重要であることになりますが,一方,トレーニングによってVmax が若干向上することもわかってきています。これにはおそらく,共同筋間の協調性の向上や,拮抗筋の活動の低減など,神経系の機能の変化が関与しているものと想像されますが,この点については,もう少し研究が進んでからご紹介しましょう。



前の記事へ 次の記事へ
ウェブコーチ
メンタル
ビジュアル
フィジカル
コーディネーション
ビリオダイゼーション
健康
松木安太郎サッカー
コンディショニング
ジュニア
知覚トレーニング
常足(なみあし)入門講座
屋敷 要の「野球書」

このページのTOPへ戻る ページトップへ
Copyright (C)SSK Corporation. All rights reserved.Copyright 2005 SUSUMU MATSUSHITA. All rights reserved.